2006年01月27日

101回目がない戦い

今日の文章は相当長くなります。あらかじめご了承ください。



救命活動



まずは写真をご覧下さい。これは、私の通う大学で見かけた「謎の白い箱」です。実は、以前にこれと似たようなものを、阪急電鉄・梅田駅構内で見かけたことがあります。どうやら、最近になって設置数が急速に増えているようです。






これは、「自動体外式除細動機(Automated External Defibrillator・略称AED)」と呼ばれる医療機器で、外部から電気ショックを与えることにより、心室細動と呼ばれる、心臓のけいれんによる突然死を防ぐ為の機械です。救命手順・使用方法はわかりやすい絵で描かれており、音声でもその手順を教えてくれるという、一分一秒を争う場面での使用に耐え得る設計となっています。



ここで一つ補足しておかねばなりませんが、この機械は医療従事者のみが使えるわけではない…いわゆる「一次救命処置」として利用することを認められているという点です。通常、このような機械を使う救命処置は「二次救命処置」と呼ばれ、本来は医療従事者のみが行うことができる処置です。しかし、日本では平成14年7月に、厚生労働省が、非医療従事者によるAEDの使用を認める見解を出しています。逆に言えば、使用方法を遵守した上での非医療従事者によるAED利用は、「犯罪ではない」のです。



認められたこと自体は、数年前の事だったんですね。普及までにはかなり時間がかかっているようです。





結構大事な閑話休題。



「医龍」という漫画では、自動車のバッテリーを用いて除細動を行う場面を見かけましたが、実際に除細動で用いる電圧・電流とは全く異なります。また、「ゴッドハンド輝」という漫画では、ハイムリック法と呼ばれる、腹部を圧迫する方法で患者のノドに詰まった異物を取り除く場面が見られましたが、これはれっきとした「二次救命処置」です。



漫画に出ていたからといっても、救命処置は安易かつ中途半端な考えで行っていい行動ではありません。特に、私のように医学モノの漫画が好きな方や、家庭の医学を熟読したがるような方は、このことを充分過ぎる程に、頭に叩き込んで下さい。



もちろん、私は作者にケチをつけるつもりはありません。どちらも大好きなマンガですから。適当なケースと判断できた為、ここに例として取り上げさせて頂いただけであるということを、補足いたします。



では、本線復帰。





そもそも、なぜ一般市民でもAEDを利用した除細動が認められるようになったのか?



それは、「デッドラインの極端な短さ」…この一文につきます。



前述した心室細動というのは、突然心臓がけいれんを起こすことで、心臓がポンプとしての役割を果たさなくなるという病気です。さらに掻っ捌いて説明すると、心臓がストライキを起こして、全身(特に脳)に酸素や栄養が行き渡らなくなり、どれだけ長くても10分程度で死に至る、ということです。



もうひとつデータを提示すると、救急車…いわゆる、医療従事者が到着するまでの時刻は、どれだけ早くても5分程度かかるのです。自動車だらけの都心部では30分以上というのもザラです。



しかし、トラブルを起こす側にはそんな事情が通じません。この病気は発生から1分過ぎる毎に、生存率は10%下がると言われています。通常、人間の体は30分程度の酸素不足では細胞が生存することはあるのですが、脳に限っては別で、5分程度の酸素不足でも深刻な後遺症を残すこともあるのです。





「あと1分あれば」





しっかり沸騰させた熱湯を注げば、少し固めの麺でカップラーメンが食べられる。



友人や伴侶と、他愛のない会話を交わせる。



本が5ページ程度読める。



適当なきまぐれで2、3回クッキーをつまめる。





たとえあなたにとってはどうでもいい明日でも、隣にいる人はそこに違う価値をおいているかも知れません。



そんな、平凡な日常を守る為に。

posted by 紫苑兼光 at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 沈思黙考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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